ウラブタの上

箱の中の神さま

シャニマスというゲームがある。

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 今までナメた記事をいくつか書いてきたが、そういえばこのゲームのある部分には触れてこなかった。
 メインはアイドルとの交流であり、育成とバトルパートはおまけに過ぎない。そう思っていた。

 しかしよく考えてみると、交流の臨界点であるTrue Endを見るためには、凄まじい難易度のコンテストで優勝(かつファン50万人を達成)しなければならない。
 交流とバトルの複合体――シャニマスはノベルゲームであり、対戦ゲームであり、ソシャゲであったのだ。

 きっかけは、ガチャで爆死したことだった。
 俺はライト層である。たまに起動してデイリーをこなし、推しのアイドルがPUされたらそれを引く。そんな日々を送っていた。

 その日も、ふとシャニマスを起動した。するとロードの後に、凛世が新ガチャで登場すると出た。
 このゲームに興味を失いかけていた俺の心が動いた。

 シャニマスを初めたのは、友人に勧められたから。「お前には凛世のストーリーが合いそうだ」と言われたから、俺はこのゲームをプレイすることになったのだ。

 なら、お別れの餞別にはちょうどいい。こいつを引いてサヨナラしよう。
 そう思い、持っていたジュエルをすべて使った。

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 爆死した。
 渡りに船だった。やめるチャンスが自然に訪れた。このまま起動しなくなれば、このゲームの記憶は時間とともに薄れていくだろう。それでいい。運命だったのだ。

 心とは裏腹に、俺の手はひとりでに動いた。ミッションのページが開かれる。

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 そこには、ジュエルの山があった。
 俺は54種類の金および虹アイドルを持っているが、誰のTrue Endも見たことがない

 金のTrueを見ると10連できる。虹なら20連。凛世の天井まであと170連は必要だから、虹のアイドルのTrueを9人分見ればいい。
 
 ゲーマーの魂が、疼いた
 俺はこのとき初めて、シャニマスと向き合う覚悟を決めた。

 とはいえ――今まで出来なかったことが、急に出来る道理もない。優勝した経験は一度だけ。それもほぼ運頼みだ。ファンを50万人獲得した上で優勝する、そのノウハウが欠けていた。
 
 ググって、学んだ。出てきたページに書いてある通りに事を進めた。
 難しかった。ケアレスミスがひとつでもあるとゲームオーバーになった。
 俺はもくもくとこのゲームをプレイした。ノベル部分はすべて読み飛ばした。
 内容はすべて知っていたからだ。

 3時間が経った。青い無機質な照明の光が、部屋を照らしている。
 聞こえるのは暖房の音だけ。俺はゲームをするとき、音量をゼロにすることがある。
 ディスプレイに浮かんでいるのは、優勝の文字。エンディングを迎え、左上にバナーが流れた。

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 True End
 あぁ、これが――これがシャニマスだったのか。
 しきりに感謝するヒロインを眺めながら、心地よい疲労に包まれる。何のことはない普通のエンディングだったが、全力を出し切って得た勝利の後だ。その余韻は至福となる。


 ――――しばらくして、ジュエルを受け取った。
 俺はガチャを回した。

 
 凛世は、出なかった。