天の光は
気づけば桜が咲いていて、梅の花はしおれていた。
乾燥した風が茶色いがくを揺らすのを見て、それが地球の呼吸なんだと思った。
少し開いた窓から入る風に、喘鳴を感じるのは気のせいだ。
街灯の明滅も一時的なもので、またぞろ月と共同戦線を張るに違いない。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。口にしたのが、どんなに強い病毒だったとしても。
液晶越しに、銀河へ向かう人々を見ている。
ダイヤはかなり乱れているようだが、乗車権が不足する様子はない。
藤原さんは――光をどういうものだと思っているんだろう。
あるときは憧れだと言う。灯台のように目指してしまうもので、蛍のように先導するものだと歌う。
あるときは自分の背後にあると言う。光を背にして立っているから、影は前に伸びると歌う。
あるときは銀河の中だ。光はきっと、見渡せばどの方向にもあるものなのだろう。
彼の世界は一貫して夜で、たまに雨まで降る。
でもその雲の上には、いちめんの星々が広がっている。
できることなら、そんな銀河を信じていたい。
だから、まだあの銀河を認めるわけにはいかないのだ。
はなたれ小僧と言われても、しばらく首を縦に振る気はない。
ニートに車掌はまだ早いでしょう。