文学青年保存館

2023 7.25 ブログの更新を停止しました

ヘブバンのBurn My Universeが好きな話

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 最初に聞いたときは喋りすぎであまり好きではなかった。
 とくにCメロのずっと歌ってる感が微妙、だったのだが、
ずっとループさせてたらボディブローのように効いてきた。

 まずは公式サイトに飛んで、そのまま流れる曲を聞いてほしい。
 それがBurn My Universeである。(作詞作曲 麻枝准×やなぎなぎ

 この宇宙を構成するそのひとつを誇りたい

 これ、やばない?
 一文から伝わるのは、絶望と苦悩と開き直り。
 縋るものが何もなくて、仕方なく宇宙のひとつであることをよすがにする。
 その小ささ、いじらしさに心を動かされる。

 曲の終盤では更に強烈なパンチが飛んでくる。

 お腹が空いたら 何か食べに行こう
 この宇宙を構成するそのひとつを誇りたい

 一見すると、突飛な歌詞の繋がりに見える。
 いきなり過ぎて笑えてしまうほどだが、
曲全体の説得力がこの飛躍を成立させてしまう。

 というか、具体例を付け加えただけである。
 何か食べに行くという普通の行動こそが、宇宙を構成している。
 このギャップを端的にブチ込んでくるのがまーじで強い。

 もっと細分化すると、食べることは生きることを象徴する。
 加えて「食べに行こう」と誘っているので、
この歌詞の意味は「私と一緒に生きてください」となる。

 面白いのは、ヘブバンの世界に男性が出てこないことである。
 つまり歌詞にでてくる「恋」という言葉が少し浮いている。

 おそらくこの恋は単に女性の現れであり、同性愛のような意味は無いと思われる。

 個人的には男が居ないヘブバンの世界はイマイチ好きではないのだが、
創作的には恋愛のマチズモを省くメリットは割とある。
 たとえば純粋な友情とか、悲劇に立ち向かう心の動きを描ける。

 これで男主人公が居たらラブドッキュンで終わっちゃうから……。

 なお、Burn My Soulという歌詞を一部変えたバージョンも存在する。
 こちらでは世界の命運を賭けた戦いの代わりに、日常を生きるバンドマンとしての矜持が歌われている。

 んだけど……とっ散らかった印象なんだよな。
 コレ絶対ユニバースの後に作ったろw

 曲調と歌い方もユニバースの方が好き。
 ただ、普通の少年少女が戦うしかないレトリック――は否が応でも感じさせられる。

 謎の侵略者によって崩壊する日常。
 ギャップ商売が上手くてお手上げです。