文学青年保存館

2023 7.25 ブログの更新を停止しました

ゼノブレイド3 ネタバレ感想(終)

 とりあえず僕はこの子供にランドくん(仮)って名付けたんです。
 画面にランドくんが出るたび、僕はランドくん! って叫んでました。

 これはそういうゲームだった。

 まず、プレイヤーを一切信じていない。
 10あるうちの10を説明してくるから、理解するだけならとても簡単だ。

 隠してくれ、本音を。
 例えばツンデレなら、「嫌い」と言ってそれで終わってくれていい。
 鑑賞者が自分でデレを見つけるところに甘露があるはずなんだ。

 一応、シャレードなら在った。
 命のマークとか、形見のサイフに穴が空いてるとか、物で意図を伝えるやつ。
 これを読み解くのが面白いんだ。
 ノアはどうして最後に剣を投げ棄てたんだろうね?

 野営している一行のシーンが流れる。仲間は穏やかに過ごしている。
 しかしユーニが過去のトラウマを思い出してしまう。
 その後、もう一度同じシーンが流れる。
 すると同じシーンでも「仲間は誰も自分の苦しみを分かってくれない、言えない」という意味が加わる。

 こういう妙なる演出も随所にあったんだけど、
内容がサスペンスだから楽しむどころじゃなかった。
 というより、主要キャラを好きになり損なった感がある。

 すべて喋ってしまうから含みが少なく、
強い欲望や執念、怒りなどの感情を見ても鬼気迫るものを感じることができない。

 加えて、ゲーム部分の水増しがある。
 モチベが下がったプレイヤーは盛土を探すミニゲームで興奮しないんす。
 延々と続くラスダンの黒光りする内装にワクワクできないんす……。

 特にイベントもなく消えていったエックスとワイには笑ったけど。
 まあ、いつの間にか敵が蒸発してるグランディア3よりは良いか。

 作品のテーマは一貫しているが、一律でもある。
 円環、ループ、メビウスウロボロスという題材は良かった。
 一方、新たな道を進む中での苦難や勇気などはあまり描かれなかった。
 もしかして追加コンテンツであるのかな?

 たとえば、スパイラル~推理の絆~という漫画では、
エピローグで仲間たちのその後が語られ、主人公は弱り死んでいく。
 敵の円環を否定し、螺旋のように続く未来を創った主人公は、死という苦みで説得力を持たせた。

 ゼノブレ3は全編が苦いコーヒーのようなゲームだったが、
しっかり砂糖は用意してあるので安心してほしい。

 レックス、よく頑張った。