文学青年保存館

2023 7.25 ブログの更新を停止しました

amazarashiについて知っていること

 ぶっといよね。色々。
 普通の人が考える物事の範囲内ではあるんだけど、
口に出すのはちょっと憚られるような、そんなニッチを強力に埋めてくる。

 同時期のアーティストで、これくらい強いメッセージを謳う人って居たかな?
 過去のXアプリを漁るとLAST ALLIANCEとかplentyとか居るけど、それも方向性が違う。

 ひろむさんがすごいのは、徹底して夢を追っているところ。
 歌の本分は鼓舞であるとばかりに、あの手この手で聞き手の関心を引いてくる。
 そして絶望を叫ぶ――ときに木造アパート、ときに団地の一室、とにかく部屋の中から。

 当初はそこに畏敬や畏怖を感じていたけど、最近は可愛いと思うようになってきた。
 いやディスってるワケじゃない。具体例を挙げよう。

 たとえば、昔の曲が首を絞めてたりする。

 夢は必ず叶うから って夢を叶えた人達が
 億面もなく歌うから 僕らの居場所はなくなった ――「ヨクト」amazarashi

 こんな歌詞を書いてしまったから、「戸山団地のレインボー」は大変わかりにくい応援歌になっている。
 夢は叶う、俺は叶えた、だから頑張れと素直に言いたい気持ちが端々から伝わってくる。
 かわいい。

 「アオモリオルタナティブ」で君はもう大丈夫、と歌ったら、コロナ禍が悲惨すぎて全然大丈夫じゃなかった。
 だから慌てて「令和二年」で「僕に嘘をつかせた」とネタにする。
 愛しい。

 いま振り返ると、初期の曲は尖っているように見えて丸かったように思う。
 きれいなジャイアンみたいな歌い方だし、どの曲もわりと爽やかに終わる。

 時代の潮流を掴むのも上手い。
 「爆弾の作り方」の引きこもりの捉え方はBUMP OF CHICKENの「ラストワン」より鋭い。

 引きこもりは実はそこまで悲観していなかったりする(ソースは俺とダチ)。
 甘えてると結論され、だから変われと突き放されるのは甚だ遺憾なのである。

 他方、秋田は攻撃性の転化を考慮する。
 そのうえで、攻撃するより自分の武器を見つけなよ、と諭してくる。

 お帰りの際は保護服と マスクをお忘れないように
 手元のモニタでご確認を 本日の東京汚染予報 ――「古いSF映画」amazarashi

 「古いSF映画」なんかもコロナ禍の動乱を予見しているかのようだ。
 先見性があるというか、布石を打っておく強かさが見え隠れする。

 たとえば「1.0」という曲があるんだけど、俺はコレ人命を救いに来てると思ってる。
 ウォークマンiPodに曲をアレコレ突っ込むと、ソートしたときに1.0は最初に来やすい。
 そして心身を消耗した人が何となく再生ボタンを連打すると、この曲が流れる――

 なんて。考え過ぎだろうけど。