タマキカス
どうしても抜きたい編成があった。
安定の2枚盾に加え、イオとミサキの範囲攻撃が強力な編成だ。
ユキのTP加速も曲者で、誘惑により2番めにアタッカーを置くこともできない。
こちらのプレイヤーレベルは109。キャラはそれほど潤沢ではないが、戦えるキャラなら20体くらいは居る。
そしてこの編成は39位。つまりコレに勝つことができれば、報酬のジュエルが少しだけアップする。
挑戦しない手はあるまい。
で、
負けると。
アオイの猛毒ガチャには成功し、プリンとノゾミは落とせた。
しかしその頃にはこちらの体力は満遍なく削られていたため、イオ先生のUBを2連続で撃たれて壊滅した。
ぐぬぬ
©2005 TBS 苺ましまろパートナーズ
時計を見ると2時40分。順位が確定する3時までもう幾許もない。
5分のクールダウンを待ちつつ、その後も数回、編成を変えて挑むも――撃沈を繰り返す。
焦りからか、一度2番めにミミを配置するという凡ミスをやらかしてしまった。色々考えた結果、最初にケアしようと思った部分がケアできなくなるやつね。
時刻は、2時55分になっていた。
俺は悩んだ。どうしても勝ちたい。どうすれば抜けるのだ。
そこで、ふと思ってしまった。問題はミサキだ、ミサキをどうにか倒すことができれば、相手のダメージソースはなくなり、勝利できるはずだ、と。
幸い、スキルで挑発持ちのキャラは居ない。ノゾミのUB前にミサキをサクっと落としてしまえばいいのだ!
しかし俺のプリコネにアリサは居ない。5月開始組なので、ハロウィンミヤコも居ない。居るのは――――
こいつだけ。
タマキ 身長158cm 体重48kg 種族は獣人、趣味は猫と戯れること
お前、いけるのか?
いけそうな顔をしている。こいつの視線を見ろ。未来を見ている。俺たちの勝利だ。
しかし問題があった。こいつはまだRANK4で、レベルも50だったのだ。
時計は、2時56分。逡巡する余裕も、躊躇する間も無かった。
俺はランクアップボタンを止まるまで連打し(RANK8)、おまかせ強化ボタンを勢いよく押した。何やら1000万マナという表示が見えたが気にしない。
続けてショップに行き、タマキのメモリーピースを32個ほど工面した。(女神石24減)
そして、専用装備の欄を開き、ファンタズムタイヤキを装備させた。(ハート30減)
もう時間はない。行くぞ、タマキよ。俺たちの未来を掴むのだ。
…………。え? お前、前衛なの? しかもかなり前じゃん 2番目になる 3番目でも死ぬ え?
いや、時間が あの ふぬぐあおおおおおおおおおお Щ(゜Д ゜#)Щ
タマキはカス。
(開幕2秒で死にました。そりゃそうだ。
置くなら4番目かな? けどそんな編成じゃ勝てない ってか
前衛の時点でイオミサキ無理だな。更にユキいるだけで出しにくくなる……)
タマキに諸々つぎ込むのは止めましょう。後悔どころじゃ済みません。
10mマナ失ったのは冷静に考えて痛すぎる