文学青年保存館

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SSSS.GRIDMAN 1話2話感想

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                                                                    Ⓒ円谷プロ Ⓒ2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会

「君たちにはやるべきことがある――」

 指針を示してくれるグリッドマンは優しいな。

 1年以上放置していたグリッドマンをようやく観た。
 があるセカイ系というだけでも美味しいのに、シュールな間と省略が作品に不思議な趣を与えている。

 主人公は最初から記憶を失っているので、英雄の条件たる跛行がすでに在る。
 自分のことが何も分からない主人公は、仲間のリッカとウツミに優しくされる。
 これは周囲の世界に承認されたということで、その世界に脅威が迫ったのなら、主人公は英雄として戦わないといけない。

 「俺にしかできないこと。それが俺のやるべきこと」
 というやたら物分りのいい発言に象徴されるように、主人公はともすれば能動的なのだが、自身の特殊性になぜか疑問を抱かない。
 通常はエヴァのシンジくんのように、困惑して戦いにならなかったり、使命の重さに耐えかねてウジウジしたりといった描写が入るんだけど……いまのところ無い。

 説得力を多少下げる代わりに、分かりやすさを取った感じかな。
 視聴者に何故? と思わせることで興味を引き、物語の牽引力にもしている。

 セカイ系なので、狭い人間関係の力を大局に伝える手段も用意されている。
【日常】六花・内海▶古いPC▶ 裕太 ◀グリッドマン◀謎の4人の仲間【非日常】

 ここはロボモノだから作劇が楽そう。
 基本的には報恩の応酬なので、主人公が初戦で苦戦したとき、敵の弱点を伝えるのは確かにヒロインでなければならなかった。

 、というのはつまり人死が大量に出ている部分を指している。
 気に入らないことがあっただけで人を殺す敵は無邪気な悪であり、針が振り切れている。ビジュアルの良さも相まってオイシイ敵役だ。
 危ない賢者の類型は哀しい終わり方をすることが多いが……OPとEDを見る限り救われることはなさそうっすね……。

 ていうか、現実に影響を与えちゃうのはヤベェでしょ。
 ほぼ同じ性質のハルヒだって、閉鎖空間でストレスを発散することに留めた。
 灼眼のシャナでも封絶のシステムにより人命は還るようになっている。

 仲が良かったクラスメイトは犠牲になり、もう戻らない。
 その事実はメイン3人組に戦う動機を与えるが――彼らにとっても視聴者にとっても、重い話は精神にクる。

 ヘラヘラ笑って楽しんでればいいアニメではなさそうだ。