文学青年保存館

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SSSS.GRIDMAN 3話感想

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                                                       Ⓒ円谷プロ Ⓒ2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
「お前は人間なのか?」――グリッドマン

「人間? ふざけるな、俺は怪獣だ!」――アンチ

 
アンチくんが食事をしているのはかなり象徴的だと思う。
 俺らの業界では(どこ?)、食べることは生きることを意味する。

 本人は人間ではなく怪獣だと言っているが、彼の行動は何をとっても人間らしい。
 グリッドマンを倒すために生まれ、その使命を果たすために行動する。
 一度勝ったときは(アカネが)喜び、以降負ければ悔しがる――それは明確な感情があるということ。

 六花が自身のお弁当を差し出しても、それを受け取らなかったのが辛うじて非人間性を担保しているように思える。
 作戦会議のファミレスでは暴食するし、アカネに八つ当たりされて食べ物を投げつけられるなど、食を介したアプローチによって怪獣だが人間という背反する概念を描こうとしているようだ。

 それよりも3話で気になるのは、一度負けた主人公がなぜ復活できたのか? という点。

 初戦で負けた理由なら分かる。
 主人公は人間相手に戦う覚悟ができていなかった。

 再戦で勝った理由も分かる。
 主人公の側には何の脈絡もなく現れた仲間がいたからだ。
 これは敵陣営と比較して不公平とも思える。
 主人公が特に何もしていないのに協力者が集まってくるのは意味が分からない。

 分からないが、世界において悪はどうしても少数派になる。
 その意味で最初から正義の側が贔屓されているというのは分かる。
 新世紀中学生の4人との関係も、これから徐々に信頼し合うようになっていくのであれば、出自は割とどうでもいいと思えなくもない(俺は思ってねえけど)。
 
 話が逸れてしまった。主人公が復活した理由だ。
 実は分かってはいる。六花との信頼関係を描きたかったからっしょ?

 一度電話を無視したのは、まだ彼を信頼できていないという無意識の証左である。
 今までは無責任に主人公に期待を寄せていたが、いざ主人公が消えると、その存在が大切なものであったことに気づき、電話に出なかったことを悔いる。
 その後六花が電話を掛け直すことでグリッドマンは復活し、戦闘後の主人公との会話で仲間としての関係が一段上に更新される。

 それは良いんだけど、再戦のとき主人公が敵が怪獣であると納得する描写がなかったのは気になる。
 問いかけるのはグリッドマンではなく主人公であるべきではなかったか。
 もっと言えば相手が人間でないと分かってもまだ迷うくらいの主人公っぽさが欲しかった。そこでヒロインが声をかければ言うことなしだ。

 一度負けても大丈夫だった理由も知りたいところ。
 負けたのなら、相応の代償を支払うべきだ。もひとり友人を死なせるとか
 いや、六花が思い悩む展開自体がそうなのか?

 そもそも、アンチくんとの戦闘の余波で、市街地はかなりの損害を受けている。
 これ自体が3人の世界へのダメージであり、支払い続けている代償と見ることもできる。

 まぁ、再戦時はグリッドマンが有利っぽかったけど引き分け扱いになったし、
 初戦もただの一時撤退だったのをアカネ陣営がぬか喜びしただけとも取れるな……。