文学青年保存館

2023 7.25 ブログの更新を停止しました

金色の騎士が存在しないセカイで

 3時間ほど昼寝をしてしまった。
 ということは、今夜は眠れないということになる。

 胡乱な話をしようじゃないか。 この記事を見た。

・イギリス人は何を理解したのか
 ソースを見たら確かに大多数の人が支持している。
 でも統計ってガバガバだからなあ……しかも「自然保護のため非暴力の直接行動」を支持する人々は、ソーラーパネルも支持している。
 あれ、エコカーとか太陽光パネルって、それを作る段階で自然をめっちゃ汚すんじゃなかったっけ。
 本当のエコは核戦争で人類が滅びること……おっと筆が滑った。私にそんな思想信条はありません。シンジくんにはなりたいけど。
 ところで彼らの想像力はこの問題の本質ではないと思う。
 彼らは「自然保護」を支持したのではなく、自分と同じように苦しむ「人」を支持したんじゃないかな?

・実は色んな活動をしてきた組織
 何をしてもCO2の排出量が変わらないから、今回直接的な行動に出た。
→この背景は知らなかった。
 自分が確実に逮捕されるという代償を払ってでもやる行為には本気が滲む。
 そこにはオーセンティシティ*1がある。
 本を出しているような人には利権とウソしか感じないが、自分の人生を擲つ人々には本物を感じる。

 ツイッターなどの反応では、それで絵にスープをかける理由は分からないという声が多い。
 うん、俺もそう思うしアプローチに失敗してると思う。

 これが犯罪であり、死人が出ているという問題も深刻である。
 だが、そこで話を斬り捨てると思考実験にならない。
「食べ物を粗末にしている」「大切なものを傷つけている」「犯罪」だから脳死で突っぱねるのではなく、その先にある思想に触れてみたい。

・辺✕古の座り込みに意味は無いのか
 まずなんで座り込んでるのか俺は知らない。だから調べてみた。
 ――理解を諦めた。なんだこれ、根が深すぎるでしょ。
 自分たちの存在意義を揺らがされた高齢の世代が、基地の存在を否定し続けている。

 そんなことより問題は、🔍座り込み 理由で検索しても、
それを簡潔に述べた説明がすぐ出てこないことじゃないか?
 まず辺✕古に基地が移設されようとしていることすら知らないぞ俺?(無知)
 移設する理由も知らない。本土のクソガキにはその程度の認知度す。
 更には「沖✕県」自体も辺✕古への移設に反対している。何だこれ、誰が話を決めてるんだ。

 ああ、普✕間飛行場の周りに市街地が多くて危険だから、
別の場所に飛行場を移設しようって話なのね。
 で、政府が決めて当時の沖✕県知事は承認したけど、その後に惨敗して市民の半数が反発した。
 移設が完了するまでにあと10年以上かかる。
 現在は絶賛工事中なので、その工事をする場所に座り込んで抗議をしているわけだ。

 なるほど、本文にあった想像力の欠如という言葉の意味を知った。
 ただ、これって無知なだけでは?
 というか、当事者たちが苦しんでいても、俺にできることはなくない?
 一緒になって声を上げればいいのか? 俺の生活を多少ばかり擲って?

・さて著者は、これらの問題に対し処方箋を出している。
 >学びとは、自分が抑圧や搾取に加担し、苦しみを生んでいる責任があるということを認め、そのことへの告発や抗議に真摯に耳を傾けること

 ――なるほど、宗教すね。
 久しぶりにここまで強い思想を目の当たりにした。『コロージョンの夏』*2の解像度を上げたバージョンだと思えばいいのかな。
 だが、リアルはラノベじゃない。革命家は存在しないし、右翼と左翼を代表する美少女も存在しない。
 でもちょっと興奮してる。日本にも居るんだ革命家。

マジョリティーは学ぶことをやめている。そして、そのことが声を上げることへの負荷を高め、「沈黙する社会」を作り出している
 ――おおお、すごい。これが扇動というものか。
 試しに俺も煽ってみよう。

 自分たちが弱い立場に転じたらどうなる!?
 気候問題は機構の問題であり、貴公の問題でもあるのだ! コトバアソビー
 格差は是正されないまま、低賃金は放置される! 人権は蔑ろにされ、差別は横行する!

 コロージョンの夏では、これがヒートアップして武力放棄につながった。
 今どき、日本で、武力蜂起が起きた。槍VS砲台だ!
 そこはフィクションだったなあ。今どきは非暴力でないと民衆の支持は得られない。

・でも、お金の臭いは消せないよね
 文中で「気候正義」という考え方が出たけど、これ、誰が補償と賠償をしてるの?
 と思ったらFFF、あのグレタさんを広告塔にする団体か。
 うーんどうしよう、俺は色んな立場を使えるけど、今回はケンモミンの皮を被ろうかな。

 機構の問題があるんじゃないかな?
 マジョリティが資金を拠出しないと成立しなくない?
 低賃金で苦しんでいる弱者が、なけなしのお金を寄付しても効果が薄すぎない?

 人間にとって必要なのはどこかに所属することであり、
一体感を得るために必要なことという考え方も分かる。俺もどこかに所属したい
 でも俺は「簡単に物事が変わらない」ということを知っている。
 ほぼ間違いなく金を出した意味はなくなるのに、活動の理念に賛同できるか?

 そのことについては、文中でも言及がある。
・絵にトマトスープをかけても、気候変動は止まらない。
 しかし、マジョリティの優位に按じたくはない、らしい。

 思い出すのは、高校時代に俺が作ったスライドの内容だ。
 当時も地球温暖化の危機が大いに叫ばれていて、その問題をスライドにまとめて各自で発表することになった。
 俺は温暖化する理由をつらつら書いて、具体的な対処法まで書いた。
 それは、個人でエコなことをすること。オフロに入る時間を減らしたり、ゴミをきちんと分別したり。
 こういう具体的な対処法をスライドにした人物は俺の他に居なかった。
 当時は問題にコミットできた俺は素晴らしいと自負し、実際教師からも評価されたが、
今思い返すと賢かったのは俺以外の全員のほうだったのかもしれない。
 そんな小さい対策をしたところで、気候変動にはまったく影響しないのだ。

 俺ではなくヒカキンが唱えなければ意味がない。
 個人ではなく大企業すべてがプラスチックの排出を削減しなければ意味がない。

 で、最終的に「意味がない」のなら、環境活動をする意味は「カネを稼ぐため」になる。
 組織に入り、献金を受け取ることが目的でしょ、という話になってしまう。
 どんな美辞麗句で着飾っても、抑圧された人々の中で美味しいポジションに就くことが目的でしょとなる。

・ところで、食い物を粗末にするな、は俺はあまり理解できない
 アレ、どこから来てるんだろう。儒教思想からかな?
 食べ残しや廃棄のフードロス問題を考えると、スプーン1杯は些事だと思ってしまう。
 やべ。サイコパスCOすぎた。なるべく全部食べてるよ俺。俺の友達の管理栄養士は健康のためにラーメンのスープを絶対に飲まないが

・残りの紙幅で、よく斬れているなと思った世の意見に触れてみる。
>テロリストの行動に低俗な自己肯定感が見えて不快
>彼らは社会の変革を望んでない。理解されない自分たちに酔っている。
→なるほど~痛烈だ。ただ、『コロ夏』だとどうしてもそこに到達する必要があった。
 セカイ系というか、日常を愛する読者のために、自己肯定に甘んじる必要があった。
 あれ? どっちが自己肯定してるんだろう。
 リアルで革命を叫んでいるのは斎藤さんで、フィクションで革命を叫んでいるのは蜂男。
 冷めた目で見ているのが俺で、ちょっと憧れたが否定したのが草太郎――?

>彼らがすべきことは政治家になることか、環境にコミットした企業を作り競争に勝つこと
→なるほどね、そういう努力をせずに直接的な行動に出てもダメだよってことか。
 知性……なんか欠けてると思ったがそれなのか。
 ただ、努力をしないのは現代のブームでもある。現代には夢破れた人も多い。
 そういう人が彼らのような幻想を見るのかもしれない。

>この事件は非暴力ではない。職員、清掃員、司法、絵のシンパを傷つける暴力行為だ
→ぐう正論。
 ただ、暴力で世界が変わる瞬間を今でも目にする点には留意する必要があるだろう。
 ロシア、北朝鮮奈良県、コロ夏、ガンダム……。

>破壊を伴う抗議活動ではだれの共感も得られない
→なるほど。上手く共感を抱かせる手段を取らないといけなかったのか。
 これを怠ると、ある事象が心に届くまでに幾つかのフィルターに抵触し、そこで話が終わってしまう。
 日本人相手に商売をするなら、ここは外せないな。
 時代にマッチした思想家になるためには、とことん共感に特化する必要がありそうだ。

 うーん……じゃあ、スープを粗末にせず、誰も傷つけない方法で環境保護を叫んだら、日本の人々にも受け入れられたのかな?
 話題になっただけで彼らの勝利みたいなところはあるかもしれない。
 しかも大したお金もかからず、ちょっと逮捕されるだけでいい。
 万が一、そういう100%クリーンな自然保護の主張が日本に届いても、見向きもされなかったかもなぁ。
 今の日本には、何しても変わらないという無力感が充満しているから。

 ※本記事で語られた事象はすべて筆者の空想であり、実際のものとは関係ありません。
 ※僕のスタンスはよく変わるコウモリです。たぶん明日は別なこと言ってんじゃねえかな

 ありえないことが何度起こった 君が生きている間に
 その度目を伏せて 無かったことにした 今や忘れた
  ――『世界の解像度』amazarashi

*1:本当に好きでやってる感

*2:新沢克海 2010.11.講談社